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無電解ニッケルメッキ
高リン |
無電解ニッケルメッキ |
無電解ニッケルメッキ
無電解ニッケルめっきは用いる還元剤の種類によって3系列に分類出来る。次亜リン酸ソーダを用いるNi−P、ホウ素化合物を用いるNi−B、ヒドラジン化合物を用いるNi−Nである。工業用ではNi−Pの普及がもっとも高く、Ni−Bは電子工業の一部で使用されている。表−1に無電解Ni−Pの液組成例を示す。
【表−1 無電解Ni−Pの液組成例】
【表−1 無電解Ni−Pの液組成例】
液組成及び条件 | (I) | (II) |
硫酸ニッケル | 20 g/l | 25 g/l |
次亜リン酸ナトリウム | 24 g/l | 20 g/l |
酢酸ナトリウム | − | 10 g/l |
乳酸 | 27 g/l | − |
プロピオン酸 | 2 g/l | − |
クエン酸ナトリウム | − | 10 g/l |
pH | 4.5 | 5 |
作業温度 | 90℃ | 90℃ |
無電解Ni−Pメッキ
Ni−Pめっきは無電解ニッケルめっきの中で最も多く使われているものであり、以下の様な特徴をもっている。
- めっき膜は代表的には7〜9%のリンを含むNi−P合金(中リン)であるが、リンの含有量によって低リン、高リンの3種類に分類できる。表−2に無電解Ni−Pめっきのリン含量とめっきの性質について示す。
- 電気ニッケルめっきに比べて延性に乏しく硬い。中リンタイプだとHv500〜600程度だが、熱処理を施すとHv900に達する。硬さに伴い耐磨耗性に優れる。
- 電気めっきと違い電流分布の問題が無いので、めっき厚さは均一である。
- リン含量の高いNi−Pは非磁性である。
- ハンダ付け、ボンディングが出来る。
上記の様な特長をもつ無電解Ni−Pめっきは様々な分野で利用されている。各分野での応用例を表−3に示す。
標準的なNi−Pめっきの速度は温度90℃で10〜25μm/h程度である。浴の温度とpHはめっき速度に大きく影響し、pHが高いほど、温度が高いほどめっき速度は速くなる。しかしいずれも高すぎると浴の分解反応を誘発しやすくなる。無電解ニッケルめっきの反応は、品物をめっき液に浸漬した瞬間から触媒金属(Fe、Ni、Co、Pt、Pdなど)を介してスタートし以後自己触媒反応を繰り返す。反応が進行するにつれ、ニッケルイオンと次亜リン酸塩濃度が下がり、pHが低下するので、硫酸ニッケル、次亜リン酸ソーダ及び苛性ソーダを補給する必要がある。無電解Ni−P浴では、反応の進行につれ硫酸ソーダと次亜リン酸ソーダの反応生成物である亜リン酸ソーダが蓄積して浴が老化する。浴が老化すると光沢の低下、めっき速度の低下、応力増加などの悪影響を及ぼすことになる。通常は5〜6ターンの経過で全更新または部分更新を行う。
【表−2 無電解Ni−Pめっきのリン含有率による分類と性質】
低リン P:1〜4% |
中リン P:7〜9% |
高リン P:10〜12% |
|
物理的性質 | |||
密度(g/cm3) | 8.5 | 8.1 | 7.9 |
融点(℃) | 880 | 880 | 880 |
電気抵抗率(μΩcm) | 20〜30 | 50〜60 | 100+ |
熱伝導度(cal/cm/℃) | 0.02 | ||
熱膨張係数(μm/m/℃) | 13 | 12 | 11 |
機械的性質 | |||
抗張力(MPa) | 200 | 800〜900 | 750〜900 |
伸び率(%) | <0.5 | 0.7 | 〜1.5 |
硬さ(めっきのまま)(Hv) | 650〜700 | 550〜600 | 500〜550 |
テーバー磨耗(TWI) | 10〜12 | 15〜20 | 20〜25 |
鋼上内部応力(kg/mm2) | 10 | ±5 | −5 |
保磁力(Oe) | 約10 | 1〜2 | 0 |
耐塩水噴霧時間(h) | 24 | 200 | 1000 |
耐酸性 | 不可 | 良 | 優 |
ハンダ付け性 | 優 | 良 | 可 |
構造 | 結晶 | 中間 | 非結晶 |
【表−3 無電解Ni−Pめっきの応用例】
用途 | 応用部品 | 使用目的 |
化学機械工業 | 反応槽、輸送管、バルブ、パイプ内部 | 耐食、耐磨耗 |
電気電子工業 | 接点、シャフト、抵抗体、ディスク | ハンダ付け、耐食、導電性付与 |
自動車工業 | ピストン、軸、シリンダー、変速機 | 耐食、硬さ、精密製、耐磨耗 |
精密機器工業 | 時計、カメラ、電子顕微鏡の部品 | 耐食、非磁性、硬さ |
その他 | 金型、事務機、船舶、航空、原子力の部品 | 耐食、耐磨耗、硬さ、他 |