アルミニウム上へのメッキプロセス

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≪ 表面処理 ≫

プロセス
アルミ素材へのメッキプロセス
アルミニウム上へのメッキプロセス
はじめに
アルミニウムは、軽量かつ電気、熱伝導性に優れるだけではなく、多くの特性を有する故に、工業的に広く利用されている金属の一つである。
特に、近年、自動車産業、航空機、宇宙産業において利用が増加している。
長い間アルミニウム表面には強固な酸化膜が形成されており、除去してもすぐに自然に形成され、めっきの良好な析出を阻害し、密着性を極端に悪くし良いめっきを施すことは困難とされて来た。

メッキ方法
アルミニウム表面は、各種合金成分(ケイ素、銅、亜鉛、マンガン、マグネシュウム)との偏析により電気的に不均一なため、素材により表面処理が異なる。
(代表的なアルミニウム合金は成分の違いにより4桁で表される、1000系(純アルミ)2000系、6000系、7000系、ADC(ダイキャスト用)AC(鋳造用)で表され処理方法が異なる。

【アルミニウム合金の化学成分】
  化学成分(%)              
種類(JIS) CU Si Fe Mn Mg Zn Ti Al
A-1050 0.05以下 0.25以下 0.4以下 0.05以下 0.05以下 0.05以下 0.0.3以下 99.5以上
A-1100 0.05以下 1.0以下 1.0以下 0.05以下   0.1以下   99.0以上
A-2024 3.8〜4.9 0.05以下 0.05以下 0.3〜0.9 1.2〜1.8 0.25以下   残分
A-5052 0.1以下 0.45以下 0.45以下 0.1以下 2.2〜2.8 0.1以下   残分
A-6061 0.15〜0.4 0.4〜0.8 0.7以下 0.15以下 0.8〜1.2 0.25以下 0.15以下 残分
ADC-6 0.12以下 1.0以下 0.8以下 0.4〜0.6 2.5〜4.0 0.4以下   残分
ADC-12 1.5〜3.5 9.6〜12 1.3以下 0.5以下 0.3以下 1.0以下   残分
AC-4C 0.2以下 8.0〜10 0.5以下 0.3以下 0.2〜0.4 .03以下   残分


【代表的なめっき方法】
亜鉛及び亜鉛合金置換法
すず及びすず合金置換法
陽極酸化法
無電解ニッケルめっき法

【工程(代表的な亜鉛置換法)】
研磨 ――特にダイキャスト、鋳物に対しては重要

予備脱脂

水洗

洗浄 ――中性、弱アルカリ洗浄剤を使用

水洗

エッチング ――酸性またはアルカリ性溶液を使用

水洗

活性化 ――材質によって数種類の酸性溶液を使用(特に重要)

水洗

亜鉛置換

水洗

めっき(電気ニッケルストライクめっき、無電解ニッケルめっき)

水洗

目的とするめっき

【アルミ素材に適するめっき(直にめっきする場合)】
めっき種類 浴種
ニッケル 電解ニッケル(無光沢、半光沢、光沢)
無電解ニッケル
銅(真鍮) 苛性ソーダーを含まない青化浴
硫酸錫浴
青化浴
亜鉛 青化亜鉛浴、ジンケート浴
硬質クロム サージェント浴、触媒浴(フッ化浴を含まない)


【研磨】
アルミダイキャスト、鋳物はその表面層に湯じわ、離型剤残渣、巣穴、酸化物及び金属間化合物の偏析などの欠陥が有り、これらがめっき処理の良否に大きな影響を与える、従って、このような表面欠陥をめっき前に取り除く必要があり、また、様々な機械加工を施された表面は加工変質層が形成されており、めっき前に十分に研磨が必要である。

【予備洗浄及び脱脂】
アルミ素材をめっき前に機械加工、バフ研磨した場合に付着したグリースやバフカスを除去する為に予備洗浄が必要になり有機溶剤、超音波を利用したバフカス除去剤が用いられる。
脱脂に際し、アルミ表面を荒らさない様に弱アルカリ性又は中性の脱脂剤が好ましい、また、アルミ表面にケイ酸皮膜を形成しないようにケイ酸塩を含まない脱脂剤を使用する。

【エッチング】
アルミ表面には表面欠陥、加工変質層、空気中で自然形成された強固な酸化膜が存在しこのまま表面処理を行っても良好な密着性めっきは得られない、そこでアルカリタイプのアルミ専用のエッチング剤で表面の酸化膜や変質層を除去して均質で安定したアルミ表面を形成する必要がある。
アルカリタイプのエッチング液で酸化膜は除去が可能だが鏡面光沢仕上げにする為に非エッチングタイプの酸性エッチングを用いる。

【活性化(デスマット)】
前工程のエッチング処理を施されたアルミニウム表面には、エッチング剤で溶解しない合金成分がスマットとして残留している。この様な状態で置換処理や陽極酸化を行うと、めっきの密着性、耐食性を低下させる原因になる、活性化処理はスマット除去するとともに素材の表面に出ている添加金属及び金属間化合物を除去シアルミニウム表面を電気化学的により均一にする。 

【亜鉛及び亜鉛合金置換法】
適切な前処理を施されたアルミ表面は活性化中の硝酸や空中あるいは水洗水中で新たに形成された酸化皮膜によって覆われている。
亜鉛置換法はアルミニウムより電気的に貴な金属である亜鉛を強アルカリ性溶液に溶解させジンケートイオンを形成させておき、この溶液中においてアルミニウム表面の酸化膜を除去すると同時に浴中の亜鉛を置換させる方法である。
この置換膜が存在するために、次工程までの間に被めっき物表面が再酸化する事を防止する。
ただし、この方法は亜鉛との電位差が大きな金属をめっきする場合さらに亜鉛とめっき金属の置換が生じ適当なストライクめっきが必要になりシアン化銅浴が使用されている。
近年、シアン化銅ストライクを用いなくても直接ニッケルめっき(電気めっき、無電解めっき)が出来る亜鉛合金置換法(亜鉛以外に銅、鉄、ニッケルを含む)が開発されている。
亜鉛、亜鉛合金置換法は二重置換(二度の亜鉛置換を施す)を行うと、めっきの密着性、耐食性を向上させることができ、広く利用されている。

まとめ
初期の頃にはには不安定で密着性の乏しかったアルミ上へのめっきも現在では確実で安定なめっき前処理が開発され非常に広い分野で各種のアルミニウム部品がめっきされている。
アルミ合金にめっきされている商品は多岐にわたり、自動車部品のアルミホイール、オートバイのシリンダーヘッド、弱電、重電、照明、光学機器、電子部品、建材、印刷ロール、医療機器、携帯電話部品等々、広い分野で採用されている。
今後も新しい分野での応用が期待されている。

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